夏の肌を守る栄養素
青い空に白い雲。雨が続いたうっとおしい梅雨も終わって、気分はもう夏。
ぎらぎら照りつける夏の太陽には、お肌の大敵である紫外線が・・・・・。
シミ・シワ・タルミなど肌の老化の80%は紫外線によるものとも言われており、
いかに紫外線から肌を守るかが若々しい肌を保つカギとなっています。
日傘や帽子、サングラスや日焼け止めで紫外線から肌を守るのはもちろん、
身体の中から紫外線対策をする事も大切。特に夏に旬の食品には、紫外線
から肌を守り、美白や美肌に効果的な栄養素を含む物がたくさんあります。
この夏はそれらを上手に取り入れることで、紫外線による肌の老化を最小限
にくい止めましょう。
【紫外線の特徴】
日常に浴びる太陽光の中には紫外線が含まれており、その量は太陽光線の約6%に及びます。
UVCはオゾン層に吸収され地表に到達しないので、それ以外の部分UVA、UVBは
約10:1のエネルギー比で到達しています。
では私たちの肌に影響をあたえるこの2つの紫外線には、どのような特長があるのでしょうか。
●UVA
UVAはメラノサイトを活性化して黒くなる日焼け(サンタン)を起こすもので、
UVBと比べてそれほど急激な作用はありません。
しかし、実は知らず知らずのうちに光老化を促進させている主因はUVAなのです。
紫外線の中でUVAは波長が長いため雲や窓ガラスも通り抜け、UVBの20~30倍の量が
私たちに注がれています。
UVAは肌の真皮にまで到達し、肌のハリを保っているコラーゲンとエラスチンという
2つの繊維を壊す酵素を増やして、コラーゲン繊維は小さく切断され、
エラスチンは変性されてしまいます。このため皮膚は弾力を失ってたるみ、
シワを発生してしまいます。また肌の深部に到達し、皮膚の細胞を
遺伝子レベルで傷つけるほか、皮膚の免疫力も低下させます。
また、細胞をくるんでいる細胞膜は、紫外線によって酸化されて、
「過酸化脂質」という物質をつくり出します。
過酸化脂質ができると細胞膜は破壊され、皮膚の老化が進んでしまうのです。
●UVB
UVBは肌の表皮にあるメラニン細胞を活性化させて、多量のメラニンを
生成させる作用があり、火傷のように赤くなる日焼け(サンバーン)をさせるものです。
エネルギーが強く、表皮細胞の遺伝子に傷をつけるので、シミや皮膚ガンの原因になります。
波長が短いため肌の真皮にまでは直接届きません。
「メラニン」は、表皮基底層にある「メラノサイト」(色素形成細胞)という細胞で
作られます。紫外線を浴びると、チロシナーゼという酵素にメラニンを作る指令を出します。
このチロシナーゼがチロジンというアミノ酸(たん白質成分)を酸化させて
メラニン色素ができるのです。この『メラニン』にも大切な役目があるのです。
紫外線を吸収して紫外線が真皮へ侵入するのを防ぎ、皮膚内部を保護しているのです。
メラニン色素ができても、お肌のターンオーバーが正常に行われていれば、
できたメラニン色素は自然に皮膚の表面に押し上げられて排出されてしまいます。
しかし、ターンオ―バーが正常に行われなかったり、無防備に強い紫外線を浴びて、
過度にメラニン色素が作られてしまうと、排出しきれずに皮膚の内部に滞ってしまい、
これがやがてシミ・ソバカスとなってしまうのです。
【紫外線による光老化から肌を守る食品】
夏野菜に豊富に含まれるビタミン・ミネラルは、体調を整えるのに欠かせない大切な栄養素。
カロチンは、体内で必要な分だけビタミンAに変わり、夏の強い日差しで疲れた目や肌の健康に
役立ちます。ビタミンCはコラーゲンの生成に欠かすことができないため、
日焼けによる肌のダメージをケアします。カリウムは体内のナトリウムを体外へ排出して
血圧の上昇を予防し、利尿作用がむくみの解消に役立ちます。
■トマト
トマトの赤い色素であるリコピンは、シミの原因であるメラニン生成に関与する
酵素「チロシナーゼ」の活性を弱める働きがあることが解っています。
リコピンは脂溶性なので、加熱したり油と組み合わせると吸収がよくなります。
オリーブオイルで炒めたり、トマトソースにしたりしていただきましょう。
抗酸化作用も高いので、紫外線によって皮膚の表面で発生する活性酸素を
消去するため、紫外線によるシミやシワを予防し、白い肌を保つ効果も期待
できます。また、コラーゲンを生成するビタミンCも摂取できるから、美肌にも
効果的です。
■ズッキーニ
ズッキーニはかぼちゃの一種ですが、ナスによく似た食感です。
非常にカロリーが低い野菜でもあり、一般的なかぼちゃである
西洋かぼちゃのカロリーの約1/7ほどしかありません。
ズッキーニはβカロチンのほかにカリウム、マグネシウム、マンガン、
ビタミンKなど微量栄養素がバランスよく含まれた野菜でもあります。
Βカロチンは体内でビタミンAと変わる栄養素です。ビタミンAは
皮膚の代謝を高めて美肌力を高めたり、粘膜を保護します。
またΒカロチンは抗酸化作用が高く、紫外線で発生する活性酸素と
戦ってくれる頼もしいビタミンで、光老化からしっかり守ってくれます。
ズッキーニ自体が油と相性の良い野菜です。
βカロチンを効率よく摂取するためにも油で炒めてから食べるようにするとよいでしょう。
■赤玉ねぎ
赤玉ねぎは、通常の玉ネギより甘みがあり、水分が多く、辛味や刺激臭が弱いので
生食で頂けます。栄養成分として、赤い色素アントシアニンを含みます。
眼に良い働きをします。また、アントシアニンは抗酸化作用が高く、
紫外線で発生する活性酸素と戦ってくれる頼もしいビタミンで、光老化から
しっかり肌を守ってくれます。辛みと刺激の成分、硫化アリルは血液をサラサラにし、
ビタミンB1の吸収を促進する働きがあります。ビタミンB群は、皮膚細胞の
代謝促進を助けると考えられています。皮膚細胞の代謝が良くなると、
紫外線などでシミやシワなどトラブルが発生した皮膚の上層部が、早く剥がれ落ちてくれます。
また、体内の毒素を封じ込める働きがあるケルセチンが含まれ、
デトックス効果も期待されています。
■茄子
茄子(なす)は約95%が水分ですが、ビタミンB群・Cなどのビタミン、
カルシウム・鉄分・カリウムなどのミネラル成分、食物繊維などをバランス良く含んでいます。これらの栄養成分により生体調節機能が優れていると言われ、特に豊富に含まれる食物繊維は、便秘を改善しニキビや肌荒れを予防する効果があります。また、皮に含まれるアントシアニンは抗酸化作用
が高く、紫外線で発生する活性酸素と戦ってくれる頼もしいビタミンで、
光老化からしっかり守ってくれます。
■セロリ
セロリは葉の部分に、ビタミンB1やB2が多く含まれ、その他にもβカロテン(ビタミンA)、
ビタミンC、食物繊維なども多く含まれます。豊富に含まれるビタミンCは、
褐色になったメラニンを無色透明にする還元作用があります。
つまり、肌の美白効果が期待できるという事です。
また、肌の弾力を司っているコラーゲンの生成を促進するため、美肌効果もあります。
ビタミンB1とB2やβカロテンも含み、新陳代謝の促進や活性酸素の除去作用もあり、
紫外線による光老化から肌を守ってくれる、夏の肌の強い味方です。
■鮭
鮭の赤い色素アスタキサンチンは、天然色素であるカロチノイドの一種。
シミが濃くなるのを防いだり、チロシナーゼの活性を弱めメラニンの生成を抑制します。
また、「史上最強のカルテノイド」と言われるほど強い抗酸化作用が知られており、
この作用で活性酸素を除去し、紫外線による光老化から肌を守ります。
また、鮭には良質のコラーゲンが含まれます。コラーゲンは肌の弾力を
保つのに欠かせない成分です。食事として摂取したコラーゲンは、
まずアミノ酸へ分解され、体内でコラーゲン合成に使われます。
新しい新鮮なコラーゲンを作り出し、古くなったものを分解する、という
新陳代謝のためにコラーゲンは必要となります。
角層などの新陳代謝に比べると、割にスローペースで行われるという
コラーゲンの新陳代謝。年齢と共にこの代謝を落とさないため、
食事としてコラーゲンを摂取するのはとっても大切。
結果、“若々しい肌”に結びつくのです。
■ 玄米
玄米に多く含まれるフェルラ酸は、メラニン色素の生成過程の酵素、
チロシナーゼの活性を阻害します。そのため、肌の美白効果が期待できます。
その上、フェルラ酸は、フェニルアラニンというアミノ酸と結合すると、
メラニン色素の生成を抑える作用を数倍高めることも確認され、
化粧品・医薬品業界でも活用されているそうです。
抗酸化作用もあるため活性酸素を除去し、紫外線による光老化から肌を守ります。
また、玄米にはビタミンEが多く含まれています。
ビタミンEは血管を広げることで血行を促進させ、酸素や栄養分をすばやく細胞まで
届けることが可能です。その結果、お肌のターンオーバー(新しく生まれ変わるプロセス)
を早めることができるのです。ビタミンEは脂溶性のビタミンで、
体内で発生して体を内側から傷つけて錆びさせる活性酸素を取り除く
すぐれた抗酸化力もあります。
また血管をきれいに保って血行を促進する働きもあります。